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サスペンション

 ここで言う「サスペンション」とは、車のフレーム部分に取り付けられている、走行状況などによって稼動する部分を指すことにします。俗に「足まわり」とも呼びます。この部分は、車によってその程度は違いますが、いろいろな部品で作られていて、走行に大きな影響を及ぼしますから、メーカーもお金をかけて開発していますし、車種によってはさまざまなメーカーからアフターパーツが発売されています。
 サスペンションの基本型はいくつかあり、車の個性によって使い分けられます。大きくは、ダブルウィッシュボーン方式・マルチリンク方式・マクファーソンストラット式などがあります。それぞれに特徴を持っていて一長一短です。問題は、この形式でなくて、その車に合った味付けをすることが重要です。このあたりも本を見ればかなり詳しく載っています。
 サスペンション部品の中で、交換後の違いを感じることができるのは、ショックアブソーバー・コイルスプリングのペアでしょう。決まった形状で車の上下動を抑制するパーツです。また、その他にもメンバー(フレーム)を支えるパーツと躍動部に使われるゴムブッシュにも気を遣うと、シャキッとしたフィーリングが保てます。

 まずショックアブソーバー(以後ショック)についてです。日本語では「減衰器」とでも呼ぶのでしょうか。この部品は消耗品で、一定以上走行した場合交換が必要となりますが、普通「ダメになったから交換する」ということはほとんど行われていません。交換しなくても普通に車に乗る分には支障がないということでしょうが、交換してみるとその違いに驚くはずです(家のワゴン車(80000km走行)で実証済み)。人間がだんだん慣れてきてしまうため、ショックの「へたり」に気がつきません。
 純正のショックは、乗り心地と走行性能などを考慮して作られています。もちろんバネとのマッチングなどはかなり高いレベルです。このままでも支障はありませんが、高速安定性確保・ロール(車両の横方向加速度により車の姿勢が不安定になる)の抑制などのために、アフターパーツに交換することもできます。
 アフターパーツの値段は、下は1台分2万円程度から、上は無限に高く数十万円です。中には減衰力や車高を調整する機構を備えているものもあります。車高調整式を「シャコチョー」とも呼びますね。車高はコイルバネの反力を調整することによって調整を行います。これらを前後輪ともに調整を行うことにより、車の運動性能をアジャストすることができます。もちろん、調整->走行->調整の繰り返しでセッティングを出していくことになります。調整ができないタイプの場合は、減衰力ははじめから選択して購入します。
カヤバ new SR special

 今現在、自分の車には、なにも調整機構を備えていないものを取り付けています。いろいろな減衰器を製品化しているカヤバの「new SR Special」という商品です。これは、減衰力を強くして高速での安定性を確保しつつ、乗り心地も比較的よいというコンセプトのモデルです。いまいちカラーがマニアックな気がしますが、どうせよく見えない場所に付くので、あまり気にしないことにします。個人的には、もっと真っ青のほうがよかったです。
 この製品を選択した理由は、やはり「乗り心地」を重視したものであるということです。ほぼ100%街乗りなので、乗り心地はかなり重要なポイントでした。純正品からの交換で実際に装着して、確かに高速安定性は格段によくなりました。路面のうねりに対して収まりがよくなったので、安心してスピードを乗せられる感じです。しかし、段差などに対する乗り心地は悪化しました。それでも、慣れてしまえば許容できる範囲です。段差などの乗り越えには、かなりの気を使いますが、そこはゆっくり走ればいいだけなので、たいして苦にはなりません。

 ショックといつもペアで考えなければならないのは、コイルスプリング(以後バネ)です。この部品は、半永久的に使えるというものでもないですが、ほとんど永久に使えると考えていいと思います。バネの諸元は、自由長(バネに負荷がかかっていないときの高さ)、バネ定数、有効巻数、線径などがあります。いろいろ社外品がある中から選択する場合、主にはバネ定数で決まると思います。
ケージーエム DR21スーパースポーツ

 自分の車には現在、Kgm/m(ケージーエムと読む)の「DR21 スーパースポーツ」を使っています。バネ定数は前4.4kg/mmで後4.0kg/mmです。純正品は2.2kg/mmですので、ほぼ倍です。この製品は、バネが遊ぶ(バネがショックに固定されず、動いてしまうこと。もちろん整備不良となる)ことの無いように、自由長を稼ぐためだけのバネがついています。車高は、約4mmダウンということになっているようです。
 これは中古品で購入しました。純正品に比べてバネ定数が大きく上がっているので、ロール量なども大幅に減少しました。車高もある程度は低くなったので、大きい段差を乗り越えるときなど、注意が必要です(コンビニの出入りでも)。やはり乗り心地も悪くなりました。バネ定数は、もうすこし低くてもいいかもしれません。

 しかし、ショックとバネのマッチングは、乗り心地や走行運動性能に大きく影響します。ショックのほうがバネにたいして強い減衰力を発生した場合、バネが適度に働きません(たまにヒクヒク跳ねている車がこれ)。また、バネのほうがショックに対して強いバネ定数を持っている場合、バネが働きすぎて、それをショックが押さえ切れなくなってしまいます(ショックが純正でローダウンのためだけにバネを社外品に交換した場合に起こりうる)。
 ショックとバネの選択は、乗り心地と走行運動性能の妥協点をよく自分で考えて、目的に合った製品の組み合わせを選択します。現在では、メーカーがショックとバネを総合的に開発した製品が多くありますので、それを選択するのもいいと思います。それらの多くは、減衰力・車高ともに調整できるものが多いです。

 乗り心地は、運転次第でどうにもなるようです。主に気を付けることは、やはりスピードです。段差があるところは覚えておいて、そこの前にはきちっと減速するようになりました。他には、マンホールなどは極力避けることです。

 その他自分が純正品以外のものを使っているところは、フロントのテンションロッドです。ニスモの強化ブッシュ圧入済に交換しています。ブッシュを強化品に交換しているだけで、リンク部分は純正品と変わらないのですが、このブッシュにはブレーキング中などはフロントブレーキが発生した減速Gがかかってくるので、痛みやすいのですが、プレス機がないと交換できないので、リンクごと販売しています。その他ニスモでは、サーキットリンクセットと称して、いろいろな強化ブッシュ圧入済のリンクを製品化しています。
 フロントのテンションロッドは、ブッシュ部分をピロボールにして、リンク長を調整できるようにした製品も出ています。しかし、ブッシュが金属に変わることで、街乗りなどで車に入力される応力が逃げる場所がなくなるため、あまり車にはいいことではないようです。しかし、リンク長を調節できる->キャスター角を調節できるのは、けっこう魅力的なことです。ブッシュ式テンションロッドで、リンク長さを調節できる製品を探したのですが、見つかりませんでした。

 R32スカイラインは、アッパーリンクのブッシュがすぐダメになりガタが発生しやすいのですが、自分の車は幸運にも、60000kmを走行した現在でもほとんどガタがありません。この理由は、いまでもぜんぜんわかりません。でも、交換しなくていいことは歓迎します。もしダメになっても、また純正品と交換すると思います。また、距離を走行した車はリアメンバーブッシュがダメになっているという話も聞きますが、今のところ未確認です。確かにレスポンスが悪くなってきたような・・・。

 それから、これはどんな車にも言えることですが、特にタイヤのサイズ変更をしたりサスペンション部品を交換したりした場合、ホイールアライメントが適正に調節されていることが重要です。調整してあるのとしていないのでは、特にFR車の場合直進安定性に違いが現れます。その他、タイヤの偏摩耗や高速安定性など、あらゆる面で影響します。自分でもこれまで数回調整を行っています。調整自体は精密な専用機械(2000万円くらいするものもある)が必要なので、とても自分ではすることはできません。費用は調整料込みで12000円程度からです。少々高いですが、これだけの値段を払う価値があります。高いタイヤを保護するためと考えれば、十分安いでしょう。調整しても、ただ走っているだけで数値は狂ってきてしまうので、20000km走行したくらいで再調整したいところです。

 サスペンションは、普通に車を使っている分にはなにか不具合が生じない限り気に止めることもありません。しかし、交換した影響がわかりやすく、おもしろいパーツの集まりだと思います。